自賠責保険・自動車保険(任意保険)請求の手引:林行政書士事務所

2005年〜2006年のニュース

ホームページ > 判決・法改正・交通事故等のニュース 
線維筋痛症:「事故に起因」と初判断 10月に山口地裁 (2006年12月17日)
自転車の歩道通行容認 道交法改正へ (2006年11月30日)
飲酒運転でひき逃げ 同乗者2人にも賠償命令 山形地裁支部(2006年11月24日)
交通事故障害者 短期入院協力  県内(長野県)3院追加  国交省(2006年10月31日)
交通事故捜査:遺族の検察事務官、改善求め法務省に要望書(2006年10月30日)
髄液漏れ:未解明な点も多く…病気として認知は?(2006年10月21日)
髄液漏れ:発症メカニズム解明へ研究着手表明 脳外科学会(2006年10月20日)
高齢運転者「認知」チェック  免許更新時に記憶力テスト  (2006年10月12日)
一緒に飲酒、乗らなかった同僚にも責任:ひき逃げ死亡
限度額上回る損害競合の場合は社会保険者により被害者の請求が優先する
<胎児死亡>事故で妊婦負傷 : 致死罪で実刑  静岡地裁支部(2006年6月8日)
車両保険:損傷は保険会社に立証責任  最高裁初判断 (2006年6月1日)
窃盗罪に罰金50万円新設 改正刑法が成立(2006年4月25日)
脳脊髄液減少症:診断治療の基準作りへ 学会がシンポ開催(2006年4月11日)
交通事故後遺症で自殺、控訴審も事故相手に賠償命令(2006年4月7日)
「ストップ暴走自転車」 警察庁が取り締まり強化へ(2006年4月6日)
自賠責訴訟:公的基準以上でも支払い義務 最高裁初判断(2006年3月30日)
<無保険車傷害 >胎児も補償対象に 最高裁が初判断(2006年3月28日)
時速20キロの衝突でも危険運転致傷罪、最高裁が判断  (2006年3月16日)
週末帰任は「通勤」 単身赴任で名古屋高裁(2006年3月15日)
男性13%は無呼吸症候群 京大助教授調査の推定値(2006年2月6日)
脳脊髄液減少症:鳥取でも被害者勝訴「事故で発症」認定(2006年1月29日)
後部座席のベルト効果検証  つくばの日本自動車研究所 (2006年1月20日)
自賠責保険、値上げへ 4月から3%程度の見通し  (2006年1月11日)
「あおり運転」許さぬ 木曽署がイエローカードで警告 (2006年1月7日)
交通事故死者:5年連続で減少、49年ぶり7000人下回る (2006年1月2日)
髄液漏れ:初の和解「事故が原因」と勧告 津地裁支部(2005年12月24日)
窃盗に50万円以下の罰金新設ー業過致死傷罪は倍に 法制審 (2005年12月9日)
自転車事故で賠償命令 5千万円、当時高校生に(2005年11月25日)
飲酒運転に2億円賠償命令  3人死亡で遺族の請求認め (2005年11月25日)
請求時効「3年」が確定  公立病院診療費で最高裁 (2005年11月24日)
むち打ち:髄液漏れ、さいたま区検が再捜査し略式起訴 (2005年11月5日)
むち打ち:被害女性、苦難の3年余「失った時間返して」 (2005年11月5日)
脳脊髄液減少症:交通事故が原因と認定 福岡地裁支部(2005年9月22日)
線維筋痛症:「事故に起因」と初判断 10月に山口地裁            
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20061217k0000m040122000c.html
交通事故後に全身が痛むようになり。「線維筋痛(せんいきんつう)症」と診断された男性(51)が「事故が原因だ」として、加害者らを相手取って治療費など4684万円余の支払いを求めた訴訟で、山口地裁岩国支部(寺元義人裁判官)が今年10月、「一応の因果関係が認められる」と528万円余の支払いを命じたことが分かった。患者団体などによると、事故との因果関を認めた判決が明らかになったのは初めて。判決は1審で確定した。

交通事故と発症を巡っては。脳脊髄(せきずい)液減少症(髄液漏れ)でも、しばしば争点となり、因果関係を認める地裁判決はこれまでに少なくとも2回出ている。

線維筋痛症の発症の仕組みは未解明で、さまざまな説があり、裁判所の判断が注目された。判決は事故後の経緯を踏まえ、「特に頚椎(けいつい)外傷を受けた患者で発症率が高いことに照らせば、事故による頚椎捻挫(ねんざ)等と無関係に生じたとは考えがたい」と述べた。

しかし、男性にも発症や症状が悪化した原因の一部があったとし、線維筋痛症に関する損害のうち25%に限って「事故に起因する」とした。

男性は00年7月、車を運転中に追突された。翌日から首や越などの痛みが出て通院を続けた。事故5年後の昨年7月、初めて線維筋痛症と診断された。

裁判で加害者側は「事故で線維筋痛症になる仕組みが明らかでない。原因としてウイルス感染や科学物質過敏など多くの説がある。因果関係が立証されていない」と主張していた。
 
男性の弁護士は「裁判官は、事故と発症との関係が医学的に完全には証明できなくても、被害者保護の観点から判決を導き出してくれた」と評価している。【渡辺暖】
 
◇ 国内推定200万人 認知度は低く

事故後に線維筋痛症と診断された患者が直面している問題は、脳脊髄(せきずい)液減少症(髄液漏れ)を巡って明らかになっている問題が共通点が少なくない。

線維筋痛症の患者は、厚生労働省研究班の疫学調査によると国内に推定200万人いるとされる。だが、欧米に比べて医師たちの間で認知度が低く、患者が診断されるまでかな りの時間を要する傾向にある。勝訴した男性は裁判を始めてから詳しい医師に出会った。


男性の主治医は「私の患者の約3分の1が交通事故後に発症している」と指摘。患者団体「線維筋痛症友の会」の橋本裕子代表は「加害者や損保会社がなかなか治療費を認めてくれない。患者は裁判をする体力に自信がなかったり、医師の協力が得られず、泣き寝入 りしている。勝訴判決は大きな朗報」と話している。

■ 線維筋痛症 全身に痛みがあるのに、画像検査や血液検査では異常が見つからないのが特徴。診断基準は「3ヶ月以上、体の広範囲で痛みがあり、触診して、所定の18ヶ所 のうち11ヶ所以上で痛みがある」とされている。発祥原因は、外傷のほか、ウイルス感染、 化学物質過敏、不眠、食物アレルギー、自律神経異常などの多くの説があるが、医学的に明らかではない。

毎日新聞 2006年12月17日 3時00分   
自転車の歩道通行容認 道交法改正へ           
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061130-00000021-san-pol
警察庁は30日、道交法で原則車道を通行するとしている自転車について、子供が運転する場合や車道通行が危険な場合などに限り、歩道での通行を認める方向で来年通常国会での法改正を目指す方針を決めた。同庁はまた、高齢者運転者に義務付ける認知機能の簡易検査について、75歳以上を対象とする方向で検討に入った。

自転車の通行については、同庁の「自転車対策検討懇談会」(座長・岸田孝弥高崎経済大教授)が同日、自転車の安全利用促進に向けた対策を提言。これを踏まえ、同庁は地域の実情に合わせた環境整備や子供のヘルメット着用促進などの総合的な対策を推進する。

提言は、自転車の保有台数の増加に比べ、専用の通行空間の整備は不十分と指摘。自転車に絡む事故が増加し、利用者のマナー違反への批判も高まっていると分析した。

その上で、子供や高齢者の利用、買い物目的などには車両としての迅速性は求められていないと判断。現在、各都道府県公安委員会の規則で通行を認めている歩道以外でも、ルールを明確にした上で、子供の利用や車道通行が危険な場合は認められるとした。

認知機能検査については、同庁の「運転免許制度に関する懇談会」(座長・石井威望東大名誉教授)が提言。約20分間で記憶力や判断力を検査し、「認知症の疑いがある」「認知機能低下の疑いがある」「認知機能は低下していない」に3分類する。認知症の疑いがある場合は、過去の違反状況などを踏まえ医師の診断を受けてもらい、認知症と診断されれば免許停止か取り消しとする。

(産経新聞) −11月30日16時50分更新   
飲酒運転でひき逃げ 同乗者2人にも賠償命令 山形地裁支部
http://headlines.yahoo.co.jp:80/hl?a=20061125-00000003-khk-toh
北海道函館市内で2004年10月、飲酒運転の車にひき逃げされ死亡した同市亀田港町、大学生新田京子さん=米沢市出身、当時(20)=の両親が。運転していた同市的場町、元運転手山本恵一受刑者(43)=危険運転致死罪などで服役中=と同乗者の友人2人に、計9,500万円の損害賠償を求めた裁判の判決で、山形地裁米沢支部は24日、3人に計6,200万円を支払うよう命じた。

判決理由で飛沢知行裁判官は、被告側3人が車ではしご酒をしていた事実を認定。「加害者本人だけでなく、運転を制止しなかった同乗者2人も、飲酒運転と危険運転行為を手助けした者として責任を負うべきだ」と指摘した。

判決によると、山本受刑者は2004年10月23日午前3時半ごろ、函館市五稜郭町の市道交差点で、酒を飲んで車を運転、横断中だった新田さんをはねて死亡させ、そのまま逃走した。

(河北新報)−11月25日7時2分更新    
交通事故障害者 短期入院協力 県内3院追加 国交省        
国土交通省は31日、自動車事故が原因で在宅介護を受けている重度後遺障害者の短期入院を積極的に受け入れる「短期入院協力病院」に、県内3ヶ所を含む10病院を新たに指定した。今回の指定で、協力病院は全国42ヶ所、県内4ヶ所となった。

県内で新たに指定を受けたのは県厚生連鹿教湯三才山リハビリテーションセンター三才山病院(上田市)、波田総合病院(東筑摩郡波田町)、相沢病院(松本市)。

短期入院は、障害者の定期的な治療や介護する家族の負担軽減などが目的で、年間30日以内の入院費用の一部を、独立行政法人自動車事故対策機構(本部・東京)が助成する。協力病院には入院や治療に関する相談窓口が設置され、患者搬送用のリフトや専用浴槽の整備などに国交省から補助金が出る。

協力病院には、健和会病院(飯田市)が今年4月、県内で初めて指定されている。

2006年11月1日付 信濃毎日新聞朝刊   
交通事故捜査:遺族の検察事務官、改善求め法務省に要望へ       
http://www.mainichi-msn.co.jp/kansai/news/20061030k0000e040027000c.html

バイク事故で長男を亡くした神戸地検検察事務官の三浦良治さん(56)が、交通事故捜査の改善を求める要望書を近く、法務省に提出する。長男の事故では、相手方の過失を探る実況見分調書は作成されず、運転手も送検されなかった。要望書では、警察だけで判断せず、真相に迫る調書の作成を求める。現職の検察事務官が捜査のあり方を巡り、法務省に要望するのは異例。三浦さんは「捜査では死ななかった当事者の証言に頼りがち。客観的な証拠に基づいた公正な捜査を尽くすべきだ」と訴えている。

三浦さんの長男宏文さん(当時21歳)は宮城教育大2年生だった99年11月17日、仙台市内でバイクに乗って帰宅途中、バスと衝突して死亡した。宮城県警はバイクが中央線を越えたとして、宏文さんを道交法違反容疑で書類送検=不起訴=した。

警察段階で「宏文さんは容疑者」と判断されたため、バス運転手の過失を問う実況見分調書は作成されず、宏文さんがどんな状況で死んだのか知る道は閉ざされた。運転手を送検しなかったため、検察審査会の判断を仰ぐこともできなかった。

東京地検交通部の実務研究会がまとめた実務書では、交通操作に関し「過失の有無の判断はデリケート。過失を認定できないような結論がいったん出た事件でも、法律的判断は(送検して)検察官に審査してもらうのが適当」としている。

このため要望書では(1)死亡事故は業務上過失致死容疑で捜査し、状況が遺族に分かる実況見分調書を作成する(2)警察官だけで過失を断定せず、検察官が判断する(3)被疑者死亡で書類送検した場合、1年で廃棄する捜査記録の保存期間を延長するーーを求めている。【山田英之】

毎日新聞 2006年10月30日 10時32分     
髄液漏れ:未解明な点も多く・・・病院としての認知は?
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20061021k0000m040161000c.html
医学界の大発見か、それとも大暴論か。論争が続いてきた「脳脊髄(せきずい)液減少症」(髄液漏れ)について、日本脳神経外科学会の学術委員会が、本格的な研究に取り組む。発症のメカニズムなど、依然として未解明な点も多い髄液漏れは、病気として認められるのか。今後の行方を探った。【渡辺暖、入江直樹、野田武】

20日午後1時、京都市の国立京都国際会館。学会が初めて、髄液漏れをテーマに取り上げたシンポジウムが終了した後、学術委員会委員長の嘉山孝正・山形大医学部長は会見で「診断漏れがあれば、我々医者の責任。慎重かつ早急に検討したい」と述べ、髄液漏れの研究に乗り出し、診断・治療のガイドラインを作成する方針を明確に示した。手には、苦しみを訴える患者から届いた手紙が握られていた。

さらに「医師によって診断基準に大きなばらつきがある」と現状の問題点を指摘したうえで「学会間の垣根を払い、誰がみても納得できるガイドラインを作らなくてはならない」と延べ、整形外科、脊髄、頭痛などにかかわる学会に「これから働きかける」と意欲を見せた。

髄液漏れは、病気として扱われてこなかったため、診断や治療をしている医療機関がどこに、どれだけあるのか、診断された患者はこれまでに何人いるのかなど、まったく実態が把握されていないのが実情だ。多くの医師が診察で髄液漏れを調べないので、間違った病気(慢性頭痛、頚椎捻挫(けいついねんざ)、むち打ち症、うつ病など)に診断診断された患者も少なくない。

今後の診断に当面参考になるのが「脳脊髄液減少症研究会」がまとめたガイドラインだ。これは一部の医師が作成し、20日に公表した暫定的なものだが、髄液漏れを「脳脊髄液が持続的ないし断続的に漏出することによって減少し、頭痛、頸部痛、めまい、耳鳴りなどさまざまな症状を呈する疾患」と定義。「頭を上げて座ったり、立っていると、3時間以内に悪化する」としているのが特徴だ、髄液漏れと診断されれば、その適正な治療が期待されることになる。

最も信頼性が高い画像診断方法として「RI脳槽・脊髄液腔シンチグラム」を挙げた。髄液が流れている脊髄液腔に、放射性同位元素で目印を付けた特殊な検査薬を注入し、時間ごとに薬の広がり具合を調べるもの。髄液が漏れていれば、脊髄の左右ににじみが出るなどするという。この他に「頭部MRI」などによる診断を参考にする。

治療方法は、2週間の安静臥(が)床とブラットパッチの二つ。安静に寝ていても改善しない場合には、背中に患者自身の血液を注射し、漏れた場所をふさぐブラットパッチを行う。ガイドラインでは、同一部位への再治療は、原則として3ヵ月以上の経過観察期間を設けることが望ましいとしている。


 ◇ 保険適用には慎重 厚労省
 
厚生労働省は、髄液漏れを学会が初めて正面から取り上げたことを重視。「学会の動向を見て対策などを考える」としてきた
同省疾病対策課は「今後、学会などを通じ患者の情報を収集したい。ガイドライン作りの進展具合も注視していきたい」との考えを示した。

ただ、現在唯一の治療法のブラットパッチが健康保険の対象外になっている問題は、適用に慎重な姿勢を崩していない。同省医療課は「現段階では、疾病自体の定義がはっきりしておらず、有効な治療法として確立しているとはいえない」とその理由を説明する。

一方、自賠責保険を所管する国土交通省保障課は「髄液漏れが病気と認定されれば、交通事故での後遺症もより重度と判断されることになり、被害者救済に役立つのでは」と話す。

自賠責の後遺症は、症状の重さに応じて1級から14級まである。従来、等級の決定に当たって髄液漏れは病気との認識がなかったため、休職したり、寝たきりになっているのに「事故による後遺症とは言い切れない」として、軽度の14級程度でしか認定されないケースも生まれている。

 ◇ 因果関係を認める司法判断で学会の関心一気に・・・

00年、篠永正道・国際医療福祉大付属熱海病院教授が「髄液が漏れている患者が、言われてきたより非常に多い」ことを発見し、02年に学会で発表。この翌年、篠永氏ら医師数十人が、研究会を発足させて治療や研究を進めてきた。

しかし、「髄液はめったに漏れない」が医学界の常識で、大きな声にならないできた。一方、患者からは、ブラッドパッチの健康保険適用や、治療する医療機関を増やすことを求める声が強く、患者や支援者らが04年末、約10万人の署名を厚労省に提出した。その後も、都道府県議会が次々と意見書を採択しているが、厚労省は「学会が相手にしていないレベル」と静観してきた。

昨春、損害保険会社・共済が「本当はむち打ち症なのに、髄液漏れを主張するのは不当だ」として、交通事故で発症した患者と各地で訴訟をしていることが表面化。昨年9月〜今年1月、髄液漏れの発症と事故との因果関係を認める司法判断が相次いで報道されると、関係学会の関心が一気に高まった。

また、今年3月、川崎二郎厚労相(当時)が参院予算委で「(研究者が)関係学会と連携して、厚生労働科学研究費補助金事業に応募すれば、適切に対応する」と初めて前向きな答弁をした。
 
毎日新聞 2006年10月21日 0時25分 (最終更新時間 10月21日 0時27分)   
髄液漏れ:発症メカニズム解明へ研究着手表明 脳外科学会      
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20061021k0000m040061000c.html
社団法人「日本脳神経外科学会」(東京都文京区、理事長、吉本高志・東北大学長)の学術委員会は20日、京都市内で「脳脊髄(せきずい)液減少症」(髄液漏れ)をテーマにしたシンポジウムを初めて開き、髄液漏れの発症メカニズムを解明するための本格研究を乗り出すことを決めた。日本整形外科学会など他の学会と連携し、1年後をめどに診断と治療のガイドライン策定を目指す。脳外学会が「社会問題」との認識で動き出したことで。関係機関も対応に迫られそうだ。

シンポジウムは18日から開催中の学会総会に合わせ、学術委員会が企画した。シンポ終了後、総会会長の橋本信夫・京都大教授は「この問題に関して、学会としてのスタートの日」と述べ、学術委員会委員長の嘉山孝正・山形大医学部長も「多くの脳外科医が(髄液漏れという)病態があるのではないかと、公的に知ることになった」と話した。

潜在的な患者は数万〜数十万人といわれているが、治療や補償に関する社会の救済システムは手つかずのままだ。

シンポのパネリストは、「むち打ち症などと診断されてきた患者の中に、髄液漏れの患者が多数存在する」と主張してきた篠永正道・国際医療福祉大付属熱海病院教授ら医師4人。嘉山氏らが座長を務めた。

この場で治療に取り組む医師のグループ「脳脊髄液減少症研究会」(約50人)が作成した診断と治療のガイドラインを発表した。「暫定版」ながら、ガイドラインの公表は初めて。このガイドラインによると、髄液漏れを「脳脊髄液が減少することで頭痛、頸部(けいぶ)痛、めまい、耳鳴り、視機能障害、倦怠(けんたい)などさまざまな症状があらわれる病気」と定義している。

髄液漏れは02年、篠永氏が「軽微な外傷でも髄液が漏出する」と発表した。医学界で異端視されてきたが、支持する医師は増え続けた。一方、交通事故後に発症した患者たちが、損害保険会社・共済から「事故で髄液は漏出しない」と治療費を打ち切られたり、学校嫌いとみなされる子どもの患者の存在が明らかになっている。【渡辺暖、入江直樹、野田武】

毎日新聞 2006年10月20日 19時45分 (最終更新時間 10月20日 19時47分)   
高齢運転者「認知」チェック  免許更新時に記憶力テスト       
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061012-00000016-san-soci
高齢者の交通事故防止に向けて、警察庁は12日、高齢運転者に認知機能検査を義務付ける方針を決めた。有識者でつくる警察庁の「運転免許制度に関する懇談会」(座長・石井威望東大名誉教授)に18日に諮問し、年内をめどに提言を受ける。来年の通常国会への道交法改正提出も検討しており、免許更新時の安全教育に活用する。

道交法は、医師の診断に基づき、認知症の運転者の免許取り消しや停止を規定しているが、認知機能の衰えを自覚しないケースは多く、認知症の把握は難しいという。

警察庁は、70歳以上に義務づけられている免許更新時の高齢者講習などの際に検査を実施し、(1)認知症の疑いがある
(2)認知機能が低下している疑いがある(3)認知機能は低下していないーの3つに分類する方針。

認知症の疑いがある場合は、医師の診断を受ける。認知機能低下の疑いがある場合は、講習時の安全教育で、夜間や悪天候での運転を控えることなどを指導する。検査は、イラストを記憶したりするなど4項目の設問があり、受検者が用紙に記入して回答する。

(産経新聞)−10月12日18時22分更新    
一緒に飲酒、乗らなかった同僚にも責任:ひき逃げ死亡      
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060728-00000013-yom-soci

埼玉県坂戸市で2001年、大学生だった正林幸絵(まさばやし・さちえ)さん(当時19歳)が酒酔い運転の車にひき逃げされ死亡した事件で、遺族が、運転手の元会社員(37)(危険運転致死傷罪などで懲役7年確定)と、運転前に一緒に飲酒した同僚(33)などを相手取り、計約8100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、東京地裁であった。

佐久間邦夫裁判長は、同僚についても「深酔い状態にあることを知りながら、運転を止めなかった責任がある」と賠償責任を認め、元会社員と同僚、車の所有者だった勤務先の会社に、計約5800万円を支払うよう命じた。

原告代理人によると、飲酒運転による事故で同乗者の責任を認めた判例はあるが、直前まで一緒に飲酒した者の責任を認めた判決はほとんど例がないという。

(読売新聞) 7月28日21時43分更新   
限度額上回る損害競合の場合は社会保険者より被害者の請求が優先する
被害者に自賠責傷害限度額の120万円を上回る損害賠償請求権が生じ、健康保険等治療費が社会保険者によって16条代位請求権が生じ、双方が競合した場合の取扱いにつき、@被害者優先、A社会保険者優先、B両者の損害額あん分が考えられるが、自賠法は被害者救済制度であり、社会保険は別途保険料を受領し、被害者の二重利得防止と加害者の免責阻止のための求償であるから、「被害者が社会保険者よりも優先して16条請求権を行使することができる」と判決した。

大阪高裁 平成18年6月2日判決
事件番号 平成18年(ネ)第266号 保険金請求控訴事件
1審大阪地裁 平成17年12月19日判決
事件番号(ワ)第13566号 保険金請求事件
出典  自動車保険ジャーナル         


「胎児死亡」事故で妊婦負傷:致死罪で実刑  静岡地裁支部      
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060608-00000038-mai-soci
交通事故で妊婦を負傷させ、緊急出産で生まれた胎児を死亡させた業務上過失致死傷の罪に問われた静岡県袋井市葵町、ブラジル国籍の工員、ハラ・ビドル被告(30)に対し、静岡地裁浜松支部は8日、禁固1年8月(求刑・禁固3年)の実刑を言い渡した。志田洋裁判官は「出生した胎児が母体の受けた傷害に起因して死亡するに至った」と致死罪を認定した。

判決によると、ハラ被告は3月7日午前、袋井市の県道で乗用車を運転中に対向車線にはみ出し、同県磐田市の主婦(29)の軽乗用車と正面衝突。主婦は腕などに軽傷を負い、3日後に出産予定だった胎児は緊急出産したが、胎盤早期はく離で約30時間後に死亡した。
 
これまで胎児への致死罪認定は、「人である母体に病変を生じさせ、結局は出生した人を死亡させた」とした水俣病をめぐる刑事裁判の最高裁判決(88年2月)がある。検察側はこの判例を根拠に、致死罪で起訴した。【竹地広憲】

▽只木誠・中大法学部教授(刑事法)の話  交通事故で胎児に致死罪が認定されるのは初めてではないか。画期的な判決だ。

(毎日新聞)−6月8日11時38分更新     
車両保険:損傷は保険会社に立証責任  最高裁初判断      
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060601k0000e040055000c.html
車両保険の支払いを巡り、車の損傷が故意ではなく事故によるものと立証する責任が、保険会社と契約者のどちらにあるかが争われた訴訟で、最高裁第1小法廷(横尾和子裁判長)は1日、「保険会社に立証責任がある」との初判断を示し、審理を名古屋高裁に差し戻した。保険会社側に立証責任はないとした下級審判決も多いが、契約者側に有利な判決となった。車両保険の実務に影響を与えそうだ。

商法は「偶然の事故による損害に対して保険金が支払われるが、契約者の故意や重大な過失による損害に対しては支払う責任はない」と規定している。このため、車の損傷が「偶然の事故」かどうかでトラブルになることが多い。

原告は福井県の男性。保険期間が切れる3日前に、エンジンをかけたまま止めていた車が動き出して海に落ちたとして、旧千代田火災海上保険(現あいおい損害保険)に保険金支払いを求めた。1,2審は「契約者側が偶然の事故であることを立証すべき」などとして請求を退けた。

これに対し、第1小法廷は「契約者側は事故が偶然であることを立証する責任を負わない」と指摘、保険会社に立証責任を課した。差し戻し後の審理で、契約者側の故意や重過失の有無が審理される。【木戸哲】

(毎日新聞)2006年6月1日11時43分    
窃盗罪に罰金50万円新設 改正刑法が成立       
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060425-00000094-kyodo-soci
懲役刑しかない窃盗罪に50万円以下の罰金刑を新設するとともに、業務上過失致死傷罪の罰金上限を50万円から100万円に引き上げることを柱にした改正刑法が、25日午後の衆院本会議で全会一致で可決、成立した。

現行では窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役。このため、万引など懲役刑とするには重すぎるケースでは、起訴猶予にするなどして対応してきた。しかし、万引の摘発件数の急増を受け、事件の程度に応じて弾力的に処罰できるよう罰金刑を設けて抑止効果を強めることにした。

業務上過失致死傷罪の罰金引き上げは、交通事故被害者の要望が強かった上、捜査関係者からも「ケースによっては現行の罰金の上限は軽すぎる」と指摘されていた。
       
(共同通信) 4月25日13時35分更新   
脳脊髄液減少症:診断治療の基準作りへ 学会がシンポ開催           
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20060411k0000m040139000c.html
交通事故などで発症する脳脊髄(せきずい)液減少症が、日本脳神経学界(同外科医ら約7900人が加入)が10月に京都市内で開く総会で、研究テーマとして初めて取り上げられる。頭痛などの症状の原因が、髄液の漏出なのかむち打ち症なのかをめぐって医学界でも見解が分かれるため、シンポジウム形式で科学的な検証をするのが狙いだ。診断や治療の基準作りに向け、学会はようやく腰を上げた。

脳脊髄液減少症は、髄液が体内に漏出、減少することにより、激しい頭や首の痛みや、視力・聴力の低下などさまざまな症状を引き起こすとされる。交通事故や転倒事故など外的ショックが加わった場合だけでなく、出産などでも発症するという。

治療法としては、患者本人の血液を背中に注射して漏出を止める「ブラッドパッチ」が有効とされ、患者からは「何年も苦しんできたのに、症状が好転した」という声が多く出ている。

しかし、「髄液は簡単に漏れない」「髄液の減少とさまざまな症状の関連が明確でない」などと主張する医師も多い。また、ブラッドパッチ療法を受けても症状が改善しないケースもある。

このため、病気の標準的な治療法などを研究する学会の学術委員会(委員長、嘉山孝昌・山形大医学部長)が、総会でのテーマにすることを企画。総会会長の橋本信夫・京都大教授が承認した。総会では、さまざまな立場を取る研究者が意見を述べ合い、今後の治療基準づくりなどに役立てる。 【渡辺暖】

毎日新聞2006年4月11日 3時00分     
交通事故後遺症で自殺、控訴審も事故相手に賠償命令
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060407-00000112-yom-soci
愛知県津島市で交通事故に遭って負傷し、約2年後に自殺した男性(当時70歳)の遺族が「自殺は事故に遭ってうつ状態になったのが原因」として、事故の相手方の女性に、約2000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が7日、名古屋高裁であった。

満田明彦裁判長は「事故による重い症状が改善しないことでうつ病になったもので、事故と自殺の間には因果関係がある」として、約1800万円の支払いを命じた。

判決によると、男性は2000年11月11日、津島市内の横断歩道を歩いて横断中、一時停止を怠った女性の乗用車にはねられ、頭や首などにけがを負った。歩行に障害が生じ、日常生活に介助が必要なほどの後遺症が残って、うつ病を発症し、02年11月12日に自殺した。

1審では、遺族側の主張が全面的に認められたが、女性側が控訴していた。

(読売新聞)−4月7日19時49分更新    
「ストップ、暴走自転車」警察庁が取締強化へ      
http://www.asahi.com/national/update/0406/TKY200604060182.html
車にとっては危なげで、歩行者の近くを猛スピードで駆け抜けるなど「危険」という批判が多い自転車の安全対策を進めるため、警察庁は通行方法や歩行者の安全確保などの検討に乗り出すことを決めた。法律や工学の専門家、業界の代表者ら7人と同庁で構成する「自転車対策検討懇談会」を設け、今月12日に初会合を開く。

便利で環境に優しい自転車は日常の交通手段のほか、スポーツやレジャーでも人気が高い。反面、乗車中の死傷者数は増加傾向にあり、昨年は10年前に比べて約5万人増の約18万6000人に上った。特に同乗の幼児が頭部をけがするケースが増え、昨年の死傷者数は2130人だった。

悪質運転の自転車も目立つ。昨年に起きた自転車運転中の死傷者のうち、交差点の安全進行や通行区分の違反など自転車側に違反がある割合は約7割(約12万2000人)を占めた。特に死者では4人に3人に当たる633人が何らかの違反を犯していた。

警察庁はこれまで酒酔いや信号無視、一時不停止や無灯火などの自転車に対しては注意をする程度にしていたが、今後は指導や警告を強化するとともに、悪質な運転者には刑事処分の対象として取り締まる方針に切り替えるという。


さらに交通ルールを守らない自転車の中高生が多いため、教育現場での交通安全教育を推進したり、同乗の幼児にヘルメットを着用するように呼びかけたりしている。

政府が先月まとめた第8次交通安全基本計画(06年度から5年間)では交通事故の死者を2010年度までに5500人以下に抑えると掲げた。達成するためには自転車の死者数を年間2割以上減らさなければならないという。

警察庁は「マナーやルールを守って乗ることが第一。幅広い意見を求めて解決策を探りたい」と話している。
                                                     
朝日新聞   2006年04月06日13時54分    
自賠責訴訟:公的基準以上でも支払い義務 最高裁初判断    
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060330k0000e040056000c.html
交通事故の被害者が、自動車賠償責任保険(自賠責)の公的支払い基準を超える賠償額の支払いを損害保険会社に求めた訴訟の上告審判決が30日、最高裁第1小法廷(横尾和子裁判長)であった。会社側は「基準超過分の支払い義務はない」と主張したが、判決は「基準を超えていても裁判で認定された賠償額を支払う義務がある」との初判断を示し、会社側の上告を棄却した。訴訟による被害者の救済が進みそうだ。

自賠責は被害者への賠償を保険で保障する制度。国が車の保有者に加入を義務づけている。死亡事故の場合、被害者1人に付き3000万円までの保険金が支払われる。金額が不公平にならないように、01年の自賠責法改正に基づき、金融庁などの告示で逸失利益の算出法や慰謝料額などの支払い基準が定められた。

原告は03年に盛岡市内で車にはねられて亡くなった女性(当時79歳)の遺族。加害者と自賠責契約を結んでいた損保会社から、基準に従い約1800万円を受領したが、「上限の3000万円まで支払い義務を負う」と主張して約1200万円の賠償を求めた。

会社側は「既に基準額を支払済みで、裁判所は基準を超す支払いを命じることは出来ない」と争った。しかし、第1小法廷は「支払い基準は訴訟外で保険会社が従うべき基準に過ぎず、裁判所は独自に賠償額を算定して支払いを命じることが出来る」と述べた。女性側の損害額を約2100万円と認定し、基準額との差額約300万円の支払いを命じた1,2審判決が確定した。【木戸哲】

毎日新聞 2006年3月30日 12時13分    
「無保険車傷害」胎児も補償対象に 最高裁が初判断   
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060328-00000121-mai-soci
交通事故の加害車両が任意保険に未加入だった場合に、被害者側の任意保険から賠償金が支払われる「無保険車傷害条項」を巡り、事故当時は胎児だった被害者が補償対象となるかが争われた訴訟の判決が28日、最高裁第3小法廷(藤田宙靖(ときやす)裁判長)であった。判決は「胎児も補償の対象」との初判断を示したうえで、保険会社に約1億4,000万円の支払いを命じた2審判決を支持、保険会社側の上告を棄却した。同種事故での被害者救済につながりそうだ。

事故は99年1月、富山県内で発生。妊婦中の女性の乗用車が、わき道から出て来た無保険車と衝突、事故直後に男児が仮死状態で生まれ、重度の障害が残った。男児と両親は、父親の加入する保険の無保険車傷害条項に基づき、保険会社に後遺症に対する保険金の支払いを求めた。

第3小法廷は「胎児は既に生まれたものとして損害賠償請求権を持つ」とした民法の規定に基づき「出生後の後遺症でも加害者に損害賠償を請求できる」と述べた。保険の約款には胎児を対象と認める記述はなかったが「保険加入者の家族と同様に保険金を請求できる」と結論付けた。【木戸哲】

(毎日新聞)3月28日23時35分更新   
時速20キロの衝突でも危険運転致傷罪、最高裁が判断   
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060316-00000414-yom-soci
自動車を時速20キロで運転中に信号無視をして衝突事故を起こし、相手にけがをさせたのは危険運転致傷罪に当たるかどうかが争われた刑事裁判で、最高裁第2小法廷(古田佑紀裁判長)は、14日付の決定で、「時速20キロは重大な危険を生じさせる速度と言えるから、危険運転致傷罪が成立する」との判断を示した。

この裁判は、札幌市西区の男性被告(35)が2003年11月の未明、同市内で衝突事故を起こし、相手の車に乗っていた2人に軽いけがを負わせたとして、同罪などに問われたもの。被告は、交差点手前で赤信号で停止している車を追い抜こうと、対向車線に出たところ、左折してきた車と衝突していた。

同罪は、<1>信号無視<2>重大な危険を生じさせる速度―が重なったケースなどで成立する。弁護側は「時速20キロでは重大な危険は生じない」などと主張したが、第2小法廷は1、2審に続いて弁護側の主張を退け、被告の上告を棄却した。懲役1年6月の実刑とした1、2審判決が確定する。

(読売新聞)   3月16日23時13分更新   
週末帰任は「通勤」 単身赴任で名古屋高裁     
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060315-00000217-kyodo-soci
日曜日に単身赴任先へ移動中の男性=当時(41)=が事故死したのは通勤災害として、岐阜県土岐市の妻(46)が遺族給付ばどを不支給とした高山労働監督署の処分を取り消すよう求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁の青山邦夫裁判長は15日、「(単身赴任者の)週末帰宅型の通勤」として、請求を認めた1審判決を支持、労基署側の控訴を棄却した。

遺族給付を定めた労災補償保険法は4月に改正法が施行され、自宅から単身赴任先に戻る途中の事故も通勤災害と認められる。今回の判決は1審岐阜地裁と同様、法改正を先取りした形で、妻の弁護士は「2審も同様に通勤災害を認めたのは初めて」としている。

青山裁判長は判決で、通勤とは「住居と就業の場所の間を合理的な経路と方法で往復すること」などと指摘。
男性が都合の良い列車がないため、自家用車で約3時間半かけて日曜日に移動した点を「健康と安全のためにやむを得ない」とした。

(共同通信) 3月15日19時2分更新    
男性13%は無呼吸症候群 京大助教授調査の推定値    
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060206-00000114-kyodo-soci
成人男性の3分の2は睡眠中に呼吸停止を繰り返して熟睡できない睡眠呼吸障害(SDB)で、日中も過度の眠気で生活や仕事に支障をきたす睡眠時無呼吸症候群(SAS)は13%という推定値を角谷寛京都大助教授(睡眠科学)らが6日までにまとめた。

大阪府の会社の男性社員役180人を対象にした調査に基づき推計。勤務時間や仕事内容は比較的規則的で、結果は一般化できるという。
 
過去の調査に比べ、SDBは3倍近く、SASは3−4倍。角谷助教授は「国内で数百万人の男性がSASになっている恐れがある。交通事故を起こす可能性が高いとの報告もあり、対策が必要だ」と話している。

角谷助教授らは、1人当たり1週間かけて問診をしたり睡眠の様子を調査。1時間の睡眠中に10秒以上呼吸が停止したり低呼吸だった回数を調べると、5回未満の正常者は33%だけだった。
   
(共同通信) 2月6日17時5分更新   
脳髄液減少症:鳥取で被害者勝訴「事故で発症」認定    
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060129k0000m040094000c.html
交通事故で「脳脊髄(せきずい)液減少症」と診断された鳥取市内の男性(36)が、加害者の男性を相手取って治療費など約980万円の支払いを求めた訴訟で、鳥取地裁が今月11日、加害男性に治療費など約670万円の支払いを命じていたことが分かった。古賀輝郎裁判官は判決で「事故で発症した」と因果関係を明快に認定した。脳脊髄液減少症を巡り、被害者側勝訴が明らかになったのは2件目。潜在的な患者は国内だけで10万人以上ともいわれており、国も対策が待たれている。
【山下貴史、渡辺暖】

判決によると、被害男性は02年9月、車の助手席に同乗中に加害者の車に追突され、さらに対向車に衝突された。被害男性は体調不良が続いたが、加害者側の損保保険会社は「けがは軽い首の痛み程度」として半年で治療費の支払いを打ち切ったうえで、加害者がさらなる治療費の支払い義務がないことを確認する裁判を起こした。このため被害男性が反訴していた。

訴訟では、脳脊髄液減少症の治療経験が豊富な医師が被害男性の症状に関する鑑定を行い、脳や腰部のMRI検査などから、脳脊髄液減少症と診断する鑑定書を提出した。判決は、この鑑定結果を「信頼性が高い」としたうえで「頭痛、けい部痛、腰部痛、めまい感、吐き気などに関する男性の訴えが虚偽だとうかがわせる証拠はない。事故の結果、脳脊髄液減少症が発生した」と結論付けた。

加害者側は、脳脊髄液減少症の概念を全面否定している著明な整形外科医が「3週間以内の治療で済む」とした意見書を提出したが、判決は「意見書はことさらに傷害の程度を軽く見ようとしている。到底信用することができない」と一蹴(いっしゅう)した。

 ◇司法、因果関係認定の流れ=解説

「交通事故で脳脊髄液減少症が発症した」と認めた鳥取地裁判決は。周囲の無理解から二重三重に苦しんでいる患者を勇気付けるとともに、因果関係を認める司法の流れが定着しつつあることを示している。国は、脳脊髄液減少症を巡る医学的な論争を、事故当事者や司法に負わせたままにしており、被害者保護の観点からも早急な取り組みが必要だ。

事故と発症の因果関係を認めた民事判決は、福岡地裁行橋支部判決(昨年2月)に続いて2例目。津地裁伊勢支部でも因果関係を認めた和解成立(同7月)があった。加害者の刑事処分でも、「被害はむち打ち症の軽傷」とした当初の医師の判断が覆ったケースが分かっている。

脳席膵液減少症は、脳と脊髄の周囲を循環している髄液が漏れると、頭痛やめまいなどの症状を起こす。交通事故などの難治性むち打ち症の「真相」とされる。

むち打ち症の患者の中には、痛みや周囲の無理解に基づくとトラブルに耐え切れず、自殺する人さえいる。脳脊髄減少症の研究は数年前に始まったばかりで、治療に取り組む医療機関は全国に数十しかなく、患者が診察を予約することすらも困難な状況にある。さらに、事故との因果関係を巡る当事者間の争いが、司法の場に持ち込まれるケースが増加している。

国に脳脊髄液減少症の研究を求める意見書を採択した都道府県議会は、この約2年間で16都府県に達した。厚生労働省や国土交通省、法務省など関係する省庁は、患者が置かれた実態を調査し、早急に対策を講ずる時期にきている。【渡辺暖】

毎日新聞 2006年1月29日 3時00分   

後部座席のベルト効果検証 つくばの日本自動車研究所     
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060120-00000187-kyodo-soci
の後部座席のシートベルト着用効果を確かめるため、人形を使った衝突実験が20日、茨城県つくば市の日本自動車研究所で行われ、報道陣に公開された。後部座席のベルト着用率は1割未満との統計もあり、着用、非着用で傷害にどんな差がでるかデータを検証する。

人間と同条件の人形4体を前席と後席に乗せた車が時速55キロで鉄筋コンクリートの壁に衝突。ベルト未着用の人形は後席から跳ね上がり、運転席の人形の頭に当たった。後席でチャイルドシートに乗せた子供の人形も助手席を飛び越えた。

実験を実施した自動車事故対策機構の大野祐司・企画部長は「予想はしていたがショッキング。子供はかなりのスピードで前に飛んだので、車外放出のような痛ましい事故になる可能性もある」と話した。
   
(共同通信)1月20日18時22分更新
財団法人 日本自動車研究所  
 
自賠責保険、値上げへ 4月から3%程度の見通し   
http://www.asahi.com/business/update/0111/063.html
自動車所有者に加入が義務付けられている自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険料が4月から値上げされる見通しになった。値上げは2年連続で、一般的な自家用車の2年契約(現行2万9,780円)の場合、3%程度(約900円)の値上げとなりそうだ。13日に開かれる金融庁の自賠責保険審議会で正式に決まる。

自賠責保険は、自動車1台ごとに加入が義務づけられる強制保険で、車購入時や車検の際に保険料を支払う。過去の保険料の運用益の取り崩しを財源にした国からの交付金が徐々に減るため、05年度から07年度まで3年間、段階的に契約者の負担を増やすことが決まっている。

3年間で必要となる値上げ幅は当初、自家用車で5,840円と見積もられていた。05年度はいったん約4,000円の値上げが検討されたが、大幅引き上げには利用者の反発が強く、運用成績の改善もあり、2,150円(7.8%分)の値上げにとどめた。このため06,07年度で約2,000円分の値上げが必要とみられていた。

従来、自賠責保険の保険料は、過去に集めた保険料の運用益を活用して一定額に抑えてきた。だが、事故件数の増加に伴って、02年度から保険料と保険金支払いなどの経費を釣り合わせる制度に変更。07年度までに、国の特別会計にたまった運用益の残高を交付金の形で取り崩しつつ、徐々に保険料を値上げすることになっていた。

今年4月からの値上げ幅は、2トン超のトラックの場合は約2,300円(3.4%)、営業用バスは焼く2,100円(同)などの見通しだ。

(朝日新聞 2006年1月11日10時13分)    

「あおり運転」許さぬ 木曽署がイエローカードで警告    
http://www.chunichi.co.jp/00/ngn/20060107/lcl_____ngn_____002.shtml
【長野県】木曽署は国道19号で順法走行する車を追い立てる「あおり運転行為」への対策を強化する。手始めに1月から、あおった運転者を特定し、独自の「イエローカード」を渡して厳重注意する。

このカードは、黄色い紙で作った「現場注意(指導)書」。被害を受けた車からの通報をもとにあおった車を見つけ、事情を聴いて行為を確認し、運転者に渡す。事業所の車が2枚目をもらうと、署が勤務先に連絡して改善を求める。

あおり運転は道交法で義務づけられた車間距離保持の違反で、大事故につながる可能性がありながらも、警官の現認以外には取り締まりが難しい。

一方、同署には、国道19号であおられ、速度を上げた車が、反対車線から無理な追い越しのためはみ出してきた対向車と正面衝突しそうになった、などの苦情も相次いでいた。

同署は「現場注意書」のほか、今後は「あおり運転通報します」などと書いた大型のシールを作って通行車両に張ってもらうなど情報収集にも努め、目を光らせる。 (森木 幹哉)  
  
(中日新聞) 1月7日12時19分更新    
交通事故死者:5年連続減少、49年ぶり7000人下回る   
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060103k0000m040010000c.html
昨年1年間の交通事故死者は6,871人で、5年連続で減少し、1956年以来49年ぶりに7,000人を下回った。警察庁は「道路交通法の改正による罰則強化や取り締まりの効果」と話している。

一方、04年まで2年連続で過去最悪だった発生件数は93万3,546件で、1万8,645件減。負傷者数は115万5,623人となり、2万7,497人減で、いずれも3年ぶりに減少した。また、47都道府県中、死者数が13年連続で1位だった北海道は302人で4位となった。1位は351人の愛知県だった。

毎日新聞2006年1月2日 18時09分(最終更新時間 1月2日 20時37分)  
髄液漏れ:初の和解「事故が原因」と勧告 津地裁支部    
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20051224k0000m040105000c.html

交通事故で起きる難治性むち打ち症の「真相」とされる脳脊髄(せきずい)液減少症をめぐる問題で、三重県の男性が加害者側を相手取った損害賠償訴訟が今年7月、津地裁伊勢支部(遠藤俊郎裁判官)で和解していたことがわかった。加害者側は「この程度の事故で髄液が漏出することは医学的に考えられない」とする整形外科医の意見書を基に、事故との因果関係を否定したが、同支部が「事故が原因」と和解勧告、加害者側が650万円の支払いに応じた。加害者側が訴訟を経て賠償に応じたのが明らかになるのは初めて。

訴えていたのは同県伊勢市の弁護士事務所事務長、河原宏明さん(45)。

河原さんは01年11月、2トントラックに追突され、激しい頭痛や手足のしびれが続いたが、整形外科などでは「異常なし」とされた。03年3月、ようやく脳脊髄液減少症と診断され、自分の血液注射で髄液の漏れを止める「ブラットパッチ療法」を受けて完治した。

ところが、加害者が加入していた三重県交通共済協同組合が「髄液漏れと事故は無関係」として治療費を打ち切った。さらに同年7月、加害者が治療費の支払い義務がないことを確認する訴訟を起こした。このため河原さんは残りの治療費な862万円余の賠償を求めて提訴した。

訴訟では「追突事故で脳の脊髄液が漏れるか」が争点となった。河原さんは「事故後、体調が悪化して約1年4ヵ月も治らなかったのに髄液を止める治療で完治。事故が原因なのは明らかだ」と主張。加害者側は「事故による傷害は軽い頸部(けいぶ)挫傷。軽微な追突事故では髄液は漏れない」と反論。医学論争にまで発展したが、遠藤裁判官は今年6月末、事故と発症との因果関係を認めることを前提に和解を勧告していた。【渡辺暖】


◇医師と弁護士が支え、裁判も治療も乗り越え

「40歳を過ぎ、健康と職を失うつらさを知った」。実質勝訴の和解となった被害者の河原さんが裁判を振り返った。

河原さんは事故後、首が動かず、腕が上げられなかった。下を向くと首から腰に激痛が走った。入院や通院を繰り返したが、検査では異常が見つからなかった。当時は治療してくれる医師が近県におらず、脳脊髄液減少症の診断が確定したのは、事故から1年4ヵ月後だった。

「どんな犠牲を払っても治そう」と決意。約15年間勤めた会社を退職し、一人で川崎市の「稲田登戸病院」脳神経外科の鈴木伸一医師に通い続けた。計4回のブラッドパッチ治療を受け、半年後に「完治した」と実感できたという。軽い農作業やゴルフもできるようになり、就職活動を開始。だが、失業の経緯を話すと「本当は体は大丈夫なのか」とただされ、どこも採用してくれなかった。

そんな姿を見ていた河原さんの代理人、樋上陽弁護士が「うちの事務長に」と誘ってくれた。

河原さんは「周囲から『気の持ちようだ』などと言われ続け、つらかった。でも、治すのをあきらめたら終わりだと思った。医師と弁護士の熱意で裁判も乗り越えられた」と話している。【渡辺暖】

毎日新聞 2005年12月24日 3時00分    
窃盗に50万円以下の罰金刑新設=業過致死傷罪は倍にー法制審    
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051209-00000164-jij-pol
法制審議会(杉浦正健法相の諮問機関)の刑事法部会は9日午後、窃盗罪に50万円以下の罰金を新設する刑法などの改正案の答申要綱を決定した。法務省は来年2月の法制審総会で答申を受け、次期通常国会に刑法や刑事訴訟法の改正案を提出する方針だ。

現行の窃盗罪は刑法に10年以下の懲役しか刑罰がなく、被害が少額の万引きなどは執行猶予となることが多い。罰金刑の導入で多発する窃盗事件の抑止を図る。

また、業務上過失致死傷罪の罰金上限を現行の50万円から2倍の100万円に引き上げる。同罪が適用される交通事故に対し、簡易裁判所は最高額の罰金50万円の略式命令を出す事例が多いことから、被害者や遺族の感情にも配慮し上限額を見直すこととした。        
(時事通信) 12月9日21時1分更新    
自転車事故に賠償命令 5000万円、当時高校生に   
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051125-00000277-kyodo-soci
自転車に背後から衝突され重い障害が残ったとして、元看護師の女性(57)=横浜市=が、乗っていた当時高校生の女性(19)と父親に計約5,700万円の賠償損害を求めた訴訟の判決で、横浜地裁の井上薫裁判官は25日、女性に約5,000万円の支払いを命じた。

原告代理人によると、自転車と歩行者の事故をめぐる判決では異例の賠償額。

判決理由で井上裁判官は「被告女性は携帯電話に気を取られ、前方に注意を欠いたまま進行した。原告の後遺障害との因果関係も認められる」とした・

原告側は自転車を買い与えた父親にも賠償責任があると主張ぢたが、井上裁判官は「被告の女性は高校生で、判断能力に欠ける点はなかった」と退けた。

(共同通信)11月25日22時36分更新     
飲酒運転に2億円賠償命令  3人死亡で遺族の請求認め
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051125-00000213-kyodo-soci
愛知県津島市で、飲酒運転の乗用車に正面衝突されたタクシーで死亡した乗客3人の遺族が乗用車の男性らに総額約2億2,300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は25日、約2億1,200万円の支払いを命じた。

男性側は飲酒し時速約100キロで走行した過失を認め、賠償額が争点となったが、富田守勝裁判官は「(被害者が)幼い子を残して先立った無念さは察するに余りある」として、弁護士費用などの一部を除き、ほぼ請求通り認めた。

判決などによると、昨年2月、男性の車は同市の県道で中央分離帯を越えて対向のタクシーと衝突。乗客の女性5人のうち3人と運転手が死亡した。5人は子どもを通じたグループだった。 

(共同通信) 11月25日19時37分更新    
請求権時効「3年」が確定  公立病院診療費で最高裁
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051121-00000221-kyodo-soci
公立病院が未払い診療費などを請求できる時効期間が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(今井功裁判長)は21日「公立病院と私立病院の診療に本質的な違いはなく、債権の消滅時効は民法により3年とすべきだ」との判断を示した。訴訟は1999年に松戸市立病院(千葉県)に入院した交通事故の被害者の診療費などを市が約4年後、加害者側に請求した。今井裁判長は時効を3年とした2審東京高裁判決を支持し、市側の上告を棄却。市の敗訴が確定した。公立病院の診療費の時効については、地方自治法に基づいて5年とする見解もあり、司法判断が分かれていた。

(共同通信) - 11月21日19時35分更新   
むち打ち:髄液漏れ、さいたま区検が再捜査し略式起訴    
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20051105k0000m040157000c.html
被害者が「脳脊髄(せきずい)液減少症の重傷を負った」と訴えた交通事故で、さいたま区検は今年5月、事故と発症の因果関係を認めて加害者の男性を業務上過失傷害罪で略式起訴していたことが分かった。いったんは「10日前後のけが」として加害者を不起訴にしたが、被害者の訴えで再捜査した結果、けがが約100倍の「約3年間」と分かり、一転して起訴に踏み切った。検察が検察審査会の議決などを受けずに自ら再捜査し、事故と脳脊髄液減少症との因果関係を認定したのは極めて異例で、今後の交通事故捜査に大きな影響を与えそうだ。加害者の男性は今年6月、罰金50万円の略式命令が確定した。略式命令などによると、男性は01年10月、さいたま市内で車を運転中、安全確認を十分にしないまま交差点に入り、埼玉県の会社員女性(41)が運転する車と衝突した。女性は病院に運ばれたが、骨折など明確なけがが見つからず、帰宅させられた。翌日の診断書では「頚椎捻挫(けいついねんざ)などで10日前後の治療見込み」とされ、さいたま区検は約20日後に男性を不起訴とした。女性が02年2月、男性の刑事処分を確認するため区検を訪問。「男性は不起訴になった」と知らされた。これに対し女性が区検側に、頭痛などで約1カ月間入院し、今も通院中であることや、男性が示談交渉を損害保険会社に任せたまま謝罪していないことを訴えたことから、区検は異例の再捜査に乗り出した。区検が再捜査を始めた後の03年1月、女性は脳脊髄液減少症との診断を受け、医師も事故との因果関係を指摘。この結果、因果関係が認定されることになり、区検が業務上過失傷害罪で略式起訴する支えとなった。一方、男性側の損害保険会社は「十分な治療期間が経過した」などとして女性への治療費の支払いを4カ月で打ち切った。さらに男性は今年4月、「これ以上は治療費を支払う義務はない」と女性を相手取って提訴している。【渡辺暖】        

毎日新聞 2005年11月5日 3時00分   
むち打ち:被害者女性、苦難の3年余「失った時間返して」       
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/m20051105k0000m040158000c.html
脳脊髄(せきずい)液減少症の発症と交通事故に因果関係があると認めたさいたま区検の判断で、加害者の男性は不起訴から一転、略式起訴となった。「苦しみを分かってほしい」。被害女性(41)が3年余り一貫して訴えた切実な思いが、捜査関係者に通じた結果だ。「失った時間を返してほしい。男性が謝罪もしないで普通に生活していると思うと、たまらない。憎んでも仕方がないのは分かっているけれども……」男性が不起訴になったことを知った被害者の女性は「軽傷なんかではない」と訴え、その後何度も何度も、診断書や脳脊髄液減少症の資料を届けにさいたま区検へ通い続けた。けがの影響で歩くこともままならず、庁舎内の階段を上ることさえ苦痛だった。それまで脳外科、整形外科、接骨院、眼科など九つの医療機関を受診したが症状は一向に好転しなかった。「うつ病だ」「いいかげんによくなってくれ」とも医師から言われた。ところが、ある医師の下で髄液の漏れを止める治療を受けると、激しかった頭痛が治まるなど効果が出始めた。「今までの治療は何だったのか。医学がいかに遅れているのかを思い知らされた」と話す。そして4月。男性が出した訴状には、「被害者の診断書は全治2週間なのに、医学上の評価が定まっていない治療を受けている。髄液の漏れと事故は因果関係がない」と書かれていた。「私の人生はめちゃめちゃで、すべて終わったという感じ。今も一人じゃ生きていけない体だが、私だけの問題じゃない。あきらめるわけにはいかない」。女性は唇をかみしめた。【渡辺暖】

◇解説 強い訴え、検察動かす

 検察側が自ら再捜査するという異例の判断をしたのは、「被害に見合った処罰をしてほしい」という被害者の強い訴えが通じたからだ。事故から時間が経過しても被害者の処罰感情が一向に治まらない背景には、「治療費さえ満足に支払われていない」という不満がある。加害者が被害者との対応を損害保険会社に任せ切りにしてきたことが、刑事処分の見直しにつながったともいえそうだ。先月21日には、取手区検(茨城県)が、事故の発症との因果関係は不明としたものの、被害者の治療の長期化を考慮して、加害者の略式起訴に踏み切った。この2件には、損保会社が髄液の減少を被害と認めず、賠償に応じない▽加害者が「軽傷」と思い込んで損保会社に対応を任せたまま−−という共通点がある。急速に社会的な認知度を広げつつある脳脊髄液減少症。事故直後に頚椎捻挫(けいついねんざ)などの軽傷と診断された被害者が今、次々と脳脊髄液減少症と診断されている。捜査当局は、軽微な事故と思われるケースでも被害者の訴えや損保会社の対応をきちんと確認する姿勢が求められる。【渡辺暖】          

毎日新聞 2005年11月5日 3時00分   

脳脊髄液減少症:交通事故が原因と認定 福岡地裁支部    
追突事故に遭い、難治性むち打ち症の「真相」として注目されている脳脊髄(せきずい)液減少症と診断された女性が、加害者側に約1040万円の損害賠償を求めた訴訟で、福岡地裁行橋支部が今年2月、事故が同症の原因と認め、約465万円の支払いを命じていたことが分かった。交通事故と同症の因果関係を認めた司法判断が明らかになったのは初めて。損害保険会社は同症の補償に消極的なため、全国で同様の訴訟が相次いでおり、判決は他の訴訟や損保業界に影響を与えそうだ。判決などによると、福岡県内の女性(31)は03年2月、赤信号で停車中、女性の車に追突された。翌日から首や背中が痛むようになり、当初は頚椎捻挫(けいついねんざ)などとされたが、約4カ月後に北九州市内の病院で、同年10月には別の病院でも、脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)と診断された。女性は末期がんだった母親の看病のために会社をやめ、家事や介護を続けていたため「後遺症で家事や看病がほとんどできなくなった」として03年9月、治療費や慰謝料などを求め提訴した。判決で岡口基一裁判官は(1)医師2人が事故と発症との因果関係を認めた(2)事故以前に同様の症状がなく、事故後に他の原因で発症した証拠もない(3)頚椎捻挫と併発した同症は、停車中の追突事故による例が多数を占める−−ことを挙げて「因果関係は認められる」と結論付けた。そのうえで、女性が求めた九つの医療機関での治療費や薬代の全額について加害者側に支払い義務があるとした。加害者側は「事故は極めて軽微で同症になることはなく、事故以外に原因がある」などと主張したが認められず、福岡高裁に控訴している。
同症については、損保各社が「交通事故で同症になることは考えられない」として、補償に消極的だ。患者団体は、今回と同様の訴訟が全国で50件以上起こされていると推計している。【渡辺暖、入江直樹】

 ◇「脳脊髄液減少症」診断後、保険代理人の対応冷たく

 事故の後遺症に苦しみ、損害保険も支払われない脳脊髄(せきずい)液減少症の患者に、希望を与える司法判断が示された。交通事故との因果関係を初めて認めた福岡地裁行橋支部判決。勝訴した福岡県の女性(31)は、山のような裁判資料を前に思う。「判決は当然。けがをして困っている人のために損害保険制度があるのに、それが被害者を苦しめているのだから」【渡辺暖、入江直樹】

「むち打ちはもう治っているはず。これからの治療費の話し合いは、うちの顧問弁護士がします」。女性の症状は変わらないのに、脳脊髄液減少症と診断された途端、加害者の保険代理人の態度が一変した。それまでは「早く治して下さいね」と治療に関する経費を認めてくれていた。損害保険業界が同症を認めようとしない不可解な実態を、この時に知った。車に追突された03年2月当時、女性は会社勤めを辞め、末期がんで自宅療養中の母親の介護に専念していた。しかし「まるで冷たくて巨大な石を頭に乗せられている」ような、後頭部から背中にかけての強い圧迫感に悩まされるようになった。体がむくみ、不眠や吐き気もひどくなり、思うような介護が出来なくなった。母親は同年4月に60歳で亡くなった。でも、自分の治療や保険の折衝で、悲しみに暮れている余裕はなかった。元の体に戻りたい一心で病院を回り、治療費が家計を圧迫した。追い詰められて同年9月に提訴。寝たり起きたりの日々に「私は社会に何も貢献出来ない人間なのか。夢も希望も持てない」と悩んだが、次第に「裁判に勝つことが、同じ病気に苦しむ人たちの役に立つこと」と思えるようになった。図書館やインターネットで同症に関する資料を集め、弁護士と裁判資料を作った。提訴から1年5カ月後につかんだ勝訴判決。「心ある裁判官だった」。しかし、相手側は控訴した。女性側が加入している車の搭乗者保険も支払いを拒否している。これからも闘いは続く。

 ◇治療費支払い拒否する損保業界に再考促す

 「脳脊髄液減少症」と交通事故との因果関係を認め、加害者に賠償を命じた福岡地裁行橋支部判決は、同症の存在を社会に広くアピールするとともに、治療費支払いを拒否する損害保険業界に対し、再考を促す意義を持つ。「多くの難治性むち打ち症患者の体内で、脳脊髄液が漏出している」と主張され始めてから6年目に入り、症例数も2000件を超えている。しかし、損保各社や共済はこれに否定的な多くの医師の見解を根拠に、同症の存在自体を否定している。司法判断も「髄液の漏れがあるとしても、事故との因果関係は不明。医学界では、むち打ち損傷と関連付けて考えることは認知されていない」(04年6月の東京地裁判決)などと、損保側の主張を認めてきた。このため、事故の被害者が同症と診断されても、加害者を相手取って提訴することをためらわざるを得ないのが現状だ。また、あくまで同症を前提に補償を求め続けた患者の中には「慰謝料欲しさにごねている」と受け取られ、加害者側から「補償の義務はない」と逆に提訴されるケースすら出ている。
今回の判決は、6人の医師の論文や証言を証拠にしたうえで、脳脊髄液減少症を正面から認めている。こうした司法判断が増えていけば、損保業界も対応を変えざるを得なくなり、厚生労働省などが、同症を認定するガイドライン作りに着手することにもつながるだろう。【渡辺暖】

 ◇ことば  脳脊髄液減少症

 脳と脊髄の周囲を循環している脳脊髄液が漏れると、脳の位置が下がり、頭痛やめまいなどを起こす。髄液採取の際などに発症する「低髄液圧症候群」が知られていたが、むち打ちなどでも漏出することがあると主張されるようになった。患者本人の血液を注射し、凝固で髄液漏れの個所をふさぐ「ブラッドパッチ療法」が有効とされる。

毎日新聞 2005年9月22日 3時00分   
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