低髄液圧症候群

低髄液圧症候群
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低髄液圧症候群とは(裁判例より)
 「低髄液圧症候群については、従来の定説は、脳脊髄液が漏出してこれが減少し、脳が沈下して頭蓋内の痛覚の感受組織が下方に牽引されて生じる頭痛を特徴とすることから、最も特徴的な症状を起立性頭痛とし、画像所見や髄液圧が一定の数値より低いことなどの他、硬膜外血液パッチ後72時間内に頭痛が解消することなどを診断基準としている。
 これは、低髄液圧症候群の症状とその機序を論理的に分かり易く説明したものということができ、その病名にも相応しい。」 (福岡高裁平19年2月13日判決)
低髄液圧症候群の診断基準(国際頭痛分類 ICHD-U)
A頭部全体 および・または 鋭い頭痛で、座位または立位をとると15分以内に憎悪し、以下のうち少なくとも1項目を満たし、かつDを満たす
   1. 項部硬直
   2. 耳鳴
   3. 聴力低下
   4. 光過敏
   5. 悪心
B少なくとも以下の1項目を満たす
   1. 低髄液圧の証拠をMRIで認める(硬膜の増強など)
   2. 髄液漏出の証拠を通常の脊髄造影、または脳槽造影で認める
   3. 座位髄液初圧は60ミリ水柱未満
C硬膜穿刺その他髄液瘻の原因となる既往がない
D硬膜外血液パッチ後、72時間以内に頭痛が消失する
最近の裁判例から (出典:自動車保険ジャーナル)
軽微追突後の28歳女子の症状は起立性頭痛なくブラッドパッチも改善見られず低髄液圧症候群を否認、頚椎捻挫の長期化で5割減額 (自動車保険ジャーナル 第1676号 平成19年3月1日発行)
信号待ち停車中の乗用車運転の28歳女子がクリープ状態の乗用車に追突され、頚椎捻挫、低髄液圧症候群を負ったとする事案につき、担当医は頚椎捻挫の一部ともXに説明しているので低髄液圧症候群の「確定診断をすることには疑問がある。」、低髄液圧症候群の「典型的な症状であるところの起立性頭痛はXには見られない」上、Xに「ブラッドパッチ療法を試みたものの、症状はあまり改善しなかった」等、「低髄液圧症候群は認められず」、Xの症状は頚椎捻挫(外傷性頚部症候群)で、症状の長期化は心因性要素として5割減額を適用した。
福岡高裁 平成19年2月13日判決 平成17年(ネ)第336号 平成18年(ネ)第666号
1審福岡地裁行橋支部 平成17年2月22日判決 平成15年(ワ)第104号
乗用車同乗中の接触事故で女子に脳脊髄液減少症確定診断は造影検査、起立性頭痛なく否認した(自動車保険ジャーナル 第1676号 平成19年3月1日発行)
乗用車に同乗中の女子、主婦兼キャディが被告運転の乗用車に接触され、頚椎捻挫、脳脊髄液減少症で262日通院し、1212号後遺障害を残したとする事案につき、「脊髄造影CTなどの検査は実施しておらず、臨床像のみに基づいて診断がされている」が、こうした状態で確定診断する専門医はおらず、「中心的症状は起立性頭痛」であるが、カルテには原告にそのような症状がみられない等、原告に脳脊髄液減少症による後遺障害は認められないとした。前橋地裁桐生支部平成18年12月25日判決 平成17年(ワ)第44号 
事故後4年余に発症低髄液圧症候群は物損生じない軽微接触で半年後の症状固定、医師も因果関係不明等から否認した(自動車保険ジャーナル 第1667号 平成18年12月21日発行)
コンビニ駐車場に駐車しようとしたX乗用車と後退Y普通貨物車のタイヤ同士が接触し、低髄液圧症候群が発症したとする33歳男子につき、事故後約4年半時点で低髄液圧症候群の診断を受けたが、事故約半年で本件事故の頚椎捻挫等の固定診断を受けており、現症状と低髄液圧症候群との因果関係が不明、事故と低髄液圧症候群との因果関係が不明と診断されており、本件事故と低髄液圧症候群との因果関係を「認めるに足りる証拠はない」と否認した。京都地裁平成18年10月27日判決(控訴中)  平成17年(ワ)第2858号
追突され7級低髄液圧症候群の26歳女子は吐き気、めまいで症状の違いから否認し14級認定した(自動車保険ジャーナル 第1626号 平成18年2月16日発行)
乗用車の助手席同乗停車中、乗用車に追突され先行車に玉突きして頚椎捻挫等を負った26歳女子会社員が低髄液圧症候群で7級後遺障害を残したとする事案につき、原告の症状は低髄液圧症候群の特徴の頭痛でなく「吐き気、めまい等で低髄液圧症候群であるというには足りない」とし、症状固定後の通院、就労状況等から14級10号後遺障害を認めた。横浜地裁 平成17年12月8日判決 平成14年(ワ)第4078号
追突された24歳女子のPTSD、低髄液圧症候群罹患は多彩な愁訴の訴えに基づく診断で否認、12級後遺障害に5割減額した  (自動車保険ジャーナル 第1616号 平成17年12月1日発行)
低髄液圧症候群にも罹患したとする点については、本件事故後約5年後の受診による診断で、かつ「専らXの愁訴によって行われた」ほか、低髄液圧症候群の概念も診断方法も確立していない中で、Xを低髄液圧症候群と認めるには証拠が不十分として否認した。神戸地裁 平成17年5月17日判決 平成14年(ワ)第538号
追突された運転者男子の低髄液圧症候群と12級後遺障害は半年前まで受診の前頭部絞扼感、事故4年後髄液漏れ確認等で因果関係を否認した (自動車保険ジャーナル 第1585号 平成17年4月14日発行)
乗用車を運転停車中、乗用車に追突され先行車に玉突き追突した男子が、翌日通院後、多彩な症状で多数病院を受診、低髄液圧症候群の診断を得て12級後遺障害を主張する事案につき、事故半年前まで以前の骨折による頭部絞扼感で受診しており、髄液漏れの確認は事故4年後であり、「事故との因果関係を認めることはできず」後遺障害の残存を否認した。名古屋地裁岡崎支部 平成16年3月23日判決 平成12年(ワ)第432号
原告女子の低髄液圧症候群を否認し4か月を超える追突による神経症状は予見し難いと認定(自動車保険ジャーナル 第1585号 平成17年4月14日発行)
ワンボックスカー運転停車中の原告女子がタクシーに追突され、低髄液圧症候群に罹患したとの事案につき、画像所見上確定できず診断基準からも低髄液圧症候群に罹患しているとはいえないとした。岡山地裁 平成17年1月20日判決(控訴中)  平成15年(ワ)第992号
32歳女子の低髄液圧症候群は初診時髄液の漏れはなく10か月後発症等から否認(自動車保険ジャーナル 第1585号 平成17年4月14日発行)
乗用車助手席同乗中、一時不停止乗用車に衝突され、頚椎捻挫等から低髄液圧症候群に罹患し、7級5号後遺障害を残したとする釣具店経営、自らハンドメイドロッド作製32歳女子の事案につき、2年10か月後の受診による診断であり、他の搭乗者は受傷しておらず、「本件事故時髄液が漏れたという証拠はない」ほか、くしゃみや咳によっても発症するとされている等、低髄液圧症候群の発生を否認した。千葉地裁松戸支部 平成16年6月24日判決 平成14年(ワ)第129号
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